た態度しか見せて下さらないのです。僕が一生懸命に言ふことを、何時もそんな風にはぐらか[#「はぐらか」に傍点]してしまふのです。」
 青年は、恨みがましくさう言つた。
「まあ、そんなに怒らなくつてもいゝわ。ぢや、妾《わたし》貴君の好きなやうに、聴いて上げるから言つて御覧なさい!」
 母は、子供を操るやうに言つた。
 母の態度は、心にもない立聞をしてゐる美奈子にさへ恥しかつた。
 青年は、また黙つてしまつた。
「さあ! 早くおつしやいよ。妾《わたし》こんなに待つてゐるのよ。」
 母が、青年の頬近く口を寄せて、促してゐる有様が、美奈子にも直ぐ感ぜられた。
「瑠璃子さん! 貴女には、僕の今申し上げようと思つてゐることが、大抵お解りになつてはゐませんか。」
 青年は、到頭必死な声でさう云つた。美奈子は、予期したものを、到頭聴いたやうに思ふと、今までの緊張が緩むのと同時に、暗い絶望の気持が、心の裡一杯になつた。それでも彼女は母が、一体どう答へるかと、ぢつと耳を澄してゐた。

        五

 瑠璃子は青年をじらすやうに、落着いた言葉で云つた。
「解つてゐるかつて? 何がです。」
 ある空々し
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