美奈子は、益々狼狽しながらも、ハツキリと口では、打ち消した。が、青年が何うしてさうした問題を繰り返して訊くのかと思ふと、彼女の顔は焼けるやうに熱くなつた。胸が何とも云へず、わくわくした。彼女は、相手が何うして自分の結婚をそんなに気にするのか分らなかつた。が、彼女がある原因を想像したとき、彼女の頭は狂ふやうに熱した。
彼女は、熱にでも浮されたやうに、平生の慎《つゝし》みも忘れて云つた。
「結婚なんて申しましても、妾《わたくし》のやうなものと、妾《わたくし》のやうな、何の取りどころもないやうなものと。」
彼女の声は、恥かしさに顫へてゐた。彼女の身体も恥かしさに顫へてゐた。
七
美奈子の声は、恥かしさに打ち顫へてゐたけれども、青年は可なり落着いてゐた。余裕のある声だつた。
「貴女なんかが、そんな謙遜をなさつては困りますね。貴女のやうな方が結婚の資格がないとすれば、誰が、どんな女性が結婚の資格があるでせう。貴女ほど――さう貴女ほどの……」
さう云ひかけて、青年は口を噤んでしまつた。が、口の中では、美奈子の慎ましさや美しさに対する讃美の言葉を、噛み潰したのに違ひな
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