あの新しい墓の主が、兄妹に取つて親しい父か母かであつたならば、此次の日曜にも二人は屹度、お詣りをしてゐるのに違《ちがひ》ない。
 さう考へて来ると、美奈子には次の日曜が廻つて来るのが、一日千秋のやうに、もどかしく待たれた。
 が、待たれたその日曜が来て見ると、昨夜《ゆうべ》からの梅雨らしい雨が、じめ/\と降つてゐるのだつた。
「今日はお墓詣りに行かうと思つてゐたのですけれども。」
 美奈子は、朝母と顔を見合すと、運動会の日を雨に降られた少女か何かのやうに、滾《こぼ》すやうに言つた。瑠璃子には美奈子の失望が分らなかつた。
「だつて! 美奈さんは、前の日曜にもお参りしたのぢやないの。」
「でも、今日も何だか行きたかつたの。妾《わたくし》楽しみにしてゐたのです。」
「さう! ぢや、自動車《くるま》で行つて来てはどう。自動車を降りてから、三十間も歩けばいゝのですもの。」
 瑠璃子は、優しく言つた。
「でも!」さう言つて、美奈子は口籠つた。
 雨を衝いてでも、風を衝いてでも、自分は行つてもいゝ。が、先方《むかう》は? さう思ふと、美奈子は寂しかつた。普通にお墓詣りをする人が、こんな雨降りの日に出
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