木さんを迷はしたやうなことをお云ひになる。が、あの時計だつて、妾《わたくし》が青木さんに、どうかお受け取りになつて下さいと云つて、差し出したものぢやあございませんわ。青木さんが、幾度も呉れ/\と仰しやつたから差し上げたのよ。自分がおねだりなすつたことなどは、ちつとも書いておありにならないのですもの。だから、自惚《うぬぼ》れが強くつて我儘だと申したのですわ。またあの方が、幾何《いくら》自殺をすると書いておありになつても、それはあの方の詠嘆に過ぎませんわ。もし、自動車が転覆しなかつたら、あの方は今日あたりは、妾《わたくし》の客間《サロン》へお見えになつたかも知れませんよ。また縦令《たとひ》自殺の決心が、本当でおありになつたとしても、それを妾《わたくし》一人の責任のやうに、御解釈なさることは、御免蒙りたいと思ひますわ。だつて、あの方の性格の弱さに対してまで、妾《わたくし》は責任を持ちたくありませんもの。妾《わたくし》との戯恋《フラアテイション》の一寸した幻滅で、自殺をなさるやうな方は、男子としての生存的意志を、持つてゐないと申上げてもいゝのですもの。妾《わたくし》とのいきさつで、自殺なさらな
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