るやうに。」
虐げられたる女性全体の、反抗の化身であるやうに、夫人の態度は、跳ね返る竹の如き鋭さを持つてゐた。
五
夫人は、心の中に抑へに抑へてゐた女性としての平生の鬱憤を、一時に晴してしまふやうに、烈しく迸る火花のやうに喋べり続けた。
「人が虎を殺すと狩猟と云ひ、紳士的な高尚な娯楽としながら、虎が偶々人を殺すと、兇暴とか残酷とかあらゆる悪名を負はせるのは、人間の得手勝手です。我儘です。丁度それと同じやうに、男性が女性を弄ぶことを、当然な普通なことにしながら、社会的にも妾《めかけ》だとか、芸妓《げいしや》だとか、女優だとか娼婦だとか、弄ぶための特殊な女性を作りながら、反対に偶々一人か二人かの女性が男性を弄ぶと妖婦だとか毒婦だとか、あらゆる悪名を負はせようとする。それは男性の得手勝手です。我儘です。妾《わたくし》は、さうした男性の我儘に、一身を賭して反抗してやらうと思つてゐますの。」
彼女は、一寸言葉を途切らせてから、
「青木さんとの事だつて、さうでございますわ。貴君《あなた》などは、凡ての責任を妾《わたくし》に負はせようと遊ばす。妾《わたくし》が、清浄無垢な青
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