の秀れた見識を讃嘆した。
「親や夫に臣従しないで、もつと自分本位の生活を送つてもいゝと思ひますの。古い感情や道徳に囚はれないで、もつと解放された生活を送つてもいゝと思ひますの。英国のある近代劇の女主人公が、男が雲雀《スカイラーク》のやうに、多くの女と戯れることが出来るのなら、女だつて雲雀《スカイラーク》のやうに、多くの男と戯れる権利があると申してをりますが、さうぢやございませんでせうか。妾《わたくし》もさう思ふことがございますのよ。」
夫人は、周囲の静けさを擾さないやうに、出来る丈《だけ》信一郎の耳に口を寄せて語りつゞけた。夫人の温い薫るやうな呼吸が、信一郎のほてつた頬を、柔かに撫でるごとに、信一郎は身体中が、溶《とろ》けてしまひさうな魅力を感じた。
「でも、貴君《あなた》なんか、さうした女性は、お好きぢやありませんでせうね。」さう、信一郎の耳に、あたゝかく囁いて置きながら、夫人は顔を少し離して嫣然《につこり》と笑つて見せた。男の心を、掻き擾してしまふやうな媚が、そのスラリとした身体全体に動いた。
夫人の大胆な告白と、美しい媚のために、信一郎は、目が眩んだやうに、フラ/\としてしま
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