も/\当《あて》がつた。
「あゝこりやいけない!」
彼は再び絶望したやうな声を出した。
「いけませんでございませうか。」
さう訊いた瑠璃子の声にも、深い憂慮《うれひ》が含まれてゐた。
「こりやいけない! 心臓麻痺らしいです。何時か診察したときにも、よく御注意して置いた筈ですが、可なり酷い脂肪心だから、よく御注意なさらないと、直ぐ心臓麻痺を起し易いと、幾度も云つた筈ですが。喧嘩だとか格闘だとか、興奮するやうなことは、一切してはならないと、注意して置いたのですがね。」
医師は、いかにも、自分の与へた注意が守られなかつたのが、遺憾に堪へないやうに、耳は聴診器に当《あて》がひながら、幾度も繰り返した。
「心臓の周囲に、脂肪が溜ると、非常に心臓が弱くなつてしまふのです。火事の時などに、駈け出した丈《だけ》で、倒れてしまふ人があるのです。それに酒を召し上つてゐたのですね。酒を飲んでゐる上に、烈しい格闘をやつちや堪りません。お子さんとなら、また何だつて早くお止めにならなかつたのです。」
さう云はれると、瑠璃子の良心は、グイと何かで突き刺されるやうに感じた。
「もう駄目だとは思ひますが、諦めの
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