の村田銃を持つて来た。彼は手早く台所の棚から、カンテラを取り出すと、取り乱す容子もなく、灯を点じて、戸外同様に風雨の暴《あ》れ狂ふ広間の方へと、勇ましく立ち向つた。もう六十を越した老人ではあつたが、根が漁師育ちである丈《だ》けに、胆力はガツシリと据つてゐた。
瑠璃子は、勝平と相搏つてゐる相手が、もしや恋人の直也でありはしないかと思ふと、此の一徹の老人が、一気に銃口を向けやしないかと思ふ心配で、心が怪しく擾れた。それかと云つて、強盗であるかも知れぬ闖入者を、庇ふやうな口は利けなかつた。台所に顫へてゐる女中を後に残しながら、固唾《かたづ》を飲みながら、老人の後から、随《つ》いて行つた。
座敷は、風雨で滅茶苦茶になつてゐた。室の中に渦巻く風のために、硝子《ガラス》戸が三枚も外れてゐた。其処から吹き入る雨のために、水を流したやうに、濡れた畳が、カンテラの光に物凄く映つてゐた。今にも、天井が吹き抜かれるやうに、バリ/\と恐ろしい音を立てゝ、鳴り続けた。
老人は、カンテラの光を翳しながら、
「旦那! 旦那! 喜太郎が参りましたぞ!」と次ぎの間から、先づ大声で怒鳴つた。
が、勝平はそれに対し
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