れた勝平は、前よりも二倍の狂暴さで、再び瑠璃子に飛びかゝつた。
その時だつた。瑠璃子の背後の雨戸と硝子《ガラス》戸とが、バタ/\と音を立てゝ外れると、恐ろしい一陣の風が、サツと室の中へ吹き込んだ。
洋燈《ランプ》は忽ちに消えてしまつた。が、灯の消える刹那だつた。風と共に飛び込んで来た一個の黒影が今瑠璃子に飛びかゝらうとする勝平に、横合からどうと組み付くのが、灯の消ゆるたゆたひ[#「たゆたひ」に傍点]の瞬間に瞥見された。
三
硝子《ガラス》戸の外れるのと共に、室の中へ吹き入つた風と雨とは、忽ちに、二十畳に近い大広間に渦巻いた。床の間の掛軸が、バラ/\と吹き捲られて、挑《は》ね落ちると、ガタ/\と烈しい音がして、鴨居の額が落ちる、六曲の金屏風が吹き倒される。一旦吹き込んだ風は逃れ口がないために、室内の闇を縦横に馳せ廻つて、何時までも何時までも狂奔した。
而も、此の風雨の暴《あ》れ狂ふ漆黒の闇の中に、勝平は飛び込んだ黒影と、必死の格闘を続けてゐたのだ。
「貴様は誰だ! 誰だ!」
不意の襲撃に驚いたらしく勝平は、狼狽して怒号した。が、相手は黙々として返事をしなかつ
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