わし》の真心を受け容れて下さらんのぢやから。」
 もう先刻から、一升以上も飲み乾してゐる勝平は、濁つた眸を見据ゑながら、威丈高に瑠璃子にのしかゝるやうな態度を見せた。相手が下手《したで》から出ると、ついホロリとしてしまふ瑠璃子であつたが相手が正面からかゝつて呉れゝば、一足だつて踏み退く彼女ではなかつた。
 相手の態度が急変すると、瑠璃子は先刻《さつき》の勝平の神妙な態度は、たゞ自分を説き落すための、偽りの手段であつたことが、ハツキリしたやうに思つた。
「あら、あんな事を仰《おつ》しやつて、貴君の真心は、初から分つてゐるぢやありませんか。」
 瑠璃子は、相手の脅《おどし》を軽く受け流すやうに、嫣然と笑つた。
「あゝ、貴女のその笑顔ぢや。それは俺を悩ますと同時に、嘲けり恥《はづか》しめ罵しつてゐるのぢや。あゝ俺は貴女のその笑顔に堪へない。俺は貴女のその笑顔を、初《はじめ》はどんなに楽しんでゐたか分らないが、だん/\見てゐると、貴女のその美しい笑顔の皮一つ下には、俺《わし》に対する憎悪と嘲笑とが、一杯に充ちてゐるのだ。貴女の笑顔ほど皮肉なものはない。貴女の笑顔ほど、俺《わし》の心を突き刺すも
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