だ。あはゝゝゝゝ。」
 勝平は、嫉妬と憤怒とを心の底へと、押し込みながら、何気ないやうに笑つた。
「何うも、有難う。やつと、お許しが出ましたのね。」瑠璃子も、サラリと何事もなかつたやうに微笑した。
 その時に、勝平は急に思ひ付いたやうに云つた。
「さう/\。貴女《あなた》に話すのを忘れてゐた。此間中頭が重いので、一昨日《をとゝひ》、近藤に診て貰ふと、神経衰弱の気味らしいと云ふのだ。海岸へでも行つて、少し静養したら何うだと云ふのだがね、さう云はれると、俺も此の七月以来会社の創立や何かで、毎日のやうに飛び廻つてゐたものだからね、精力主義の俺《わし》も可なりグダ/\になつてゐるのだ。神経衰弱だなんて、大したこともあるまいと思ふが、まあ暫らく葉山へでも行つて、一月ばかり遊んで来ようかと思ふのだ。尤も、彼処からぢや、毎日東京に通つても訳はないからね。それに就いては、是非貴女に一緒に行つていたゞきたいと思ふのだがね。」勝平は、熱心に、退引ならないやうに瑠璃子に云つた。
「葉山へ!」と云つたまゝ、遉《さすが》に彼女は二の句を云ひ淀んだ。
「さうです! 葉山です。彼処に、林子爵が持つてゐた別荘を、此春
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