かな地上へ吐いてから、その太い眉に、深い決心の色を凝《こ》めながら、階下へ降りて行つた。
 勝平は、抑へ切れない不快な心持に、悩まされつゝ、罪のない召使を、叱り飛ばしながら、漸く顔を洗つてしまふと、苦り切つた顔をして、朝の食卓に就いた。いつも朝食を一緒にする筈の瑠璃子はまだ庭園から、帰つて来なかつた。
「奥さんは何うしたのだ。奥さんは!」勝平は、オド/\してゐる十五六の小間使を、噛み付けるやうに叱り飛した。
「お庭でございます。」
「庭から、早く帰つて来るやうに云つて来るのだ。俺が起きてゐるぢやないか。」
「ハイ。」小さい小間使は、勝平の凄じい様子に、縮み上りながら、瑠璃子を呼びに出て行つた。
 瑠璃子が、入つて来れば、此の押へ切れない憤《いきどほり》を、彼女に対しても、洩さう。白痴の子を弄んでゐるやうな、彼女の不謹慎を思ひ切り責めてやらう。勝平はさう決心しながら、瑠璃子が入つて来るのを待つてゐた。
 二三分も経たない裡に、衣ずれの音が、廊下にしたかと思ふと、瑠璃子は少女のやうにいそいそと快活に、馳け込んで来た。
「まあ! お早う! もう起きていらしつたの。妾《わたくし》ちつとも、知ら
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