よ。俺《わし》を恐がらなくつてもいゝよ。俺《わし》だつて、こんな顔をしてゐるが、お前さんを取つて喰はうと云ふのぢやないよ。娘! さうだ、美奈子に新しい姉が出来たと思つて、可愛がつて上げようと思ふのだ。あはゝゝゝゝ。」と、勝平は何《ど》うかして、瑠璃子の警戒を解かうとして、心にもないことを云つた。
 勝平の言葉を聴くと、今迄捗々しい返事もしなかつた瑠璃子は、甦へつたやうに、快活な調子で云つた。
「おほゝゝ、ほんたうに、娘にして下さるの、妾《わたくし》のお父様になつて下さるの! 妾《わたくし》本当にさうお願ひしたいのよ。ほんたうのお父様になつていたゞきたいのよ。」
 さう云ひながら、彼女はこぼるゝやうな嬌羞を、そのしなやか[#「しなやか」に傍点]な身体一面に湛へた。
「あゝ、いゝとも、いゝとも。」勝平は、人の好い本当の父親のやうに肯いて見た。
「ほゝゝゝ。それは嬉しうございますわ、本当に、妾《わたくし》を娘にして下さいませ。それも、ほんの少しの間ですの。お約束しますわ。半年、本当に半年でいゝのよ。でも、さうぢやございませんか。妾《わたくし》、まだ年弱の十八でございませう。学校を出てから、ま
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