客のやうな緊張と不安とを感じた。勝平に扶けられてゐる手が、かすかに顫へるのを、彼女は必死に制しようとした。
瑠璃子が、勝平に従つて、玄関へ上がらうとした時だつた。其処に出迎へてゐる、多数の召使の前に、ヌツとつツ立つてゐる若者が、急に勝平に縋り付くやうにして云つた。
「お父さん! お土産《みやげ》だい! お土産だい!」
勝平は、縋り付かれようとする手を、瑠璃子の手前、きまり悪さうに、払ひ退けながら、
「あゝ分つてゐる、分つてゐる。後で、沢山やるからな。さあ! 此方へおいで。お前の新しいお母様が出来たのだからな。挨拶をするのだよ。」
勝平は、その若者を拉しながら先に立つた。若者は、振向き/\瑠璃子の顔をジロ/\と珍らしさうに見詰めてゐた。
勝平は先きに立つて、自分の居間に通つた。
「美奈子も、茲へおいで。」
彼は、娘を呼び寄せてから、改めて瑠璃子に挨拶させた後、勝平はその見るからに傲岸な顔に、恥しさうな表情を浮べながら、自分の息子を紹介した。
「これが俺《わし》の息子ですよ。御覧の通《とほり》の人間で、貴女にさぞ、御面倒をかけるだらうと思ひますが、ゼヒ、面倒を見てやつていたゞきた
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