。」
彼は余りのうれしさに、生れ故郷の訛りを、スツカリ丸出しにしながら、身体に似合はない優しい声を出した。
「貴女が心の中から、私のところへ、欣んで来て下さる。こんな嬉しいことはない。貴女のためなら俺《わし》の財産をみんな投げ出しても惜しみはせん。あはゝゝゝゝ。」
荘田は、恥しさうに顔を俯してゐる瑠璃子の、薄暗の中でも、くつきりと白い襟足を、貪るやうに見詰めながら、有頂天になつて云つた。
「貴女が来て下されば、俺も今迄の三倍も五倍もの精力で、働きますぞ。うんと金を儲けて、貴女の身体をダイヤモンドで埋めて上げますよ。あはゝゝゝゝゝ。」
荘田は、何うかして、瑠璃子の微笑と歓心とを贏《か》ちえようと、懸命になつて話しかけた。
十時を過ぎたお濠端の闇を、瑠璃子を乗せた自動車を先頭に、美奈子を乗せた自動車を中に、召使達の乗つた自動車を最後に、三台の自動車は、瞬く裡に、日比谷から三宅坂へ、三宅坂から五番町へと殆ど三分もかゝらなかつた。
瑠璃子が、夫に扶けられて、自動車から宏壮な車寄に、降り立つた時、遉《さすが》にその覚悟した胸が、烈しくときめくのを感じた。単身敵の本城へ乗り込んで行く、刺
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