く続いた。
「実は恥を云はねばならないのだが、今年の春、俺《わし》の家の園遊会で、貴女を見てから、年甲斐もなく、はゝゝゝゝ。それで、つい、心にもなく貴女のお父様までも、苦しめて、どうも何とも済まないことをしました。」
 勝平は、瑠璃子の心を解かうとして心にもない嘘を云ひながら、大きく頭を下げて見せた。
 その刹那に、美しい瑠璃子の顔に、皮肉な微笑が動いたかと思ふと、彼女の容子は、一瞬の裡に変つてゐた。
「そんなに云つて下さると妾《わたくし》の方が却つて痛み入りますわ。妾《わたくし》のやうな者を、それほどまでして、望んで下さつたかと思ふと、ほゝゝゝゝ。」
 と、車内の薄暗の裡でもハツキリと判るほど、瑠璃子は勝平の方を向いて、嫣然《えんぜん》と笑つて見せた。勝平は、その一笑を投げられると、魂を奪はれた人間のやうに、フラ/\としてしまつた。

        五

 瑠璃子の嫣然たる微笑を浴びると、勝平は三鞭酒《シャンペンしゆ》の酔が、だん/\廻つて来たその巨きい顔の相好を、たわいもなく崩してしまひながら、
「あゝ、さうでがすか。貴女の心持はさうですか、それを知らんもんですから、心配したわい
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