とする瑠璃子が恨めしかつた。心を喰ひ裂くやうな烈しい嫉妬を感じた。が、だん/\読んで行く裡に、唐沢家に対する荘田の迫害の原因が、荘田に対する自分の罵倒であつたことが、マザ/\と分つて来た。瑠璃子を唐沢家から奪はうとするのは、つまり自分の手から奪はうとするのだ。荘田が、自分に対する皮肉な恐ろしい復讐なのだ。意趣返しなのだ。瑠璃子は、復讐と膺懲の手段として、結婚すると云ふ。が、それを自分が漫然と見てゐられるだらうか。かよわい女性が、貞操の危険を冒してまで、戦つてゐる時に、第一の責任者たる自分が、茫然と見てゐられるだらうか。が、そんなことは兎に角直也には、自分の恋人が縦令《たとひ》操は許さないにしても、荘田と――豚のやうに不快な荘田と、形式的にでも夫と呼び妻と呼ぶことが、堪まらなかつた。瑠璃子は、飽くまでも、操を汚さないと云ふが、そんなことは、聡明ではあるにしろ、まだ年の若い彼女の夢想的《ロマンチック》な空想で、縦令《たとひ》彼女の決心が、どんなに堅からうとも、一旦結婚した以上、獣のやうに強い荘田の為に、ムザ/\と蹂み躙られてしまひはせぬか。どんなに強い精神でも、鉄のやうに強い腕には、敵せな
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