じっとその子《こ》を見《み》つめていましたが、突然《とつぜん》、
「まあこの子《こ》の大《おお》きい事《こと》! そしてほかの子《こ》とちっとも似《に》てないじゃないか! こりゃあ、ひょっとすると七面鳥《しちめんちょう》かも知《し》れないよ。でも、水《みず》に入《い》れる段《だん》になりゃ、すぐ見分《みわ》けがつくから構《かま》やしない。」
と、独言《ひとりごと》を言《い》いました。
 翌《あく》る日《ひ》もいいお天気《てんき》で、お日様《ひさま》が青《あお》い牛蒡《ごぼう》の葉《は》にきらきら射《さ》してきました。そこで母鳥《ははどり》は子供達《こどもたち》をぞろぞろ水際《みずぎわ》に連《つ》れて来《き》て、ポシャンと跳《と》び込《こ》みました。そして[#「そして」は底本では「そしそ」]、グワッ、グワッと鳴《な》いてみせました。すると小《ちい》さい者達《ものたち》も真似《まね》して次々《つぎつぎ》に跳《と》び込《こ》むのでした。みんないったん水《みず》の中《なか》に頭《あたま》がかくれましたが、見《み》る間《ま》にまた出《で》て来《き》ます。そしていかにも易々《やすやす》と脚《あし》
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