》しではございませぬ。しかし誠《まこと》に善《よ》い性質《せいしつ》をもっておりますし、泳《およ》ぎをさせますと、他《ほか》の子達《こたち》くらい、――いやそれよりずっと上手《じょうず》に致《いた》します。私《わたし》の考《かんが》えますところではあれも日《ひ》が経《た》ちますにつれて、美《うつく》しくなりたぶんからだも[#「からだも」は底本では「かちだも」]小《ちい》さくなる事《こと》でございましょう。あれは卵《たまご》の中《なか》にあまり長《なが》く入《はい》っておりましたせいで、からだつきが普通《なみ》に出来上《できあが》らなかったのでございます。」
そう言《い》って母親《ははおや》は子家鴨《こあひる》の頸《くび》を撫《な》で、羽《はね》を滑《なめら》かに平《たい》らにしてやりました。そして、
「何《なに》しろこりゃ男《おとこ》だもの、きりょうなんか大《たい》した事《こと》じゃないさ。今《いま》に強《つよ》くなって、しっかり自分《じぶん》の身《み》をまもる様《よう》になる。」
こんな風《ふう》に呟《つぶや》いてもみるのでした。
「実際《じっさい》、他《ほか》の子供衆《こどもしゅ
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