。
「お猿は、あのラスカアの方にお渡ししましょうか。」
「あの男がラスカアだということを、どうして御存じかね?」
紳士はほほえみかけました。
セエラは、いやがる猿をラム・ダスに渡しながら、
「そりゃア知っておりますわ。私、印度で生れたのですもの。」
印度紳士は顔色を変えて、立ち上りました。セエラはちょっと吃驚《びっくり》しました。
「あなたは、印度で生れたと? それは、ほんとですか? ちょっとこっちへ来て御覧。」
手をさし出されたので、セエラは紳士の方に行き、紳士の手の上に、自分の手を置きました。彼女はじっと立って、緑鼠色《あおねずみいろ》の眼で不思議そうに紳士の眼を見ました。この人は、どうかしたにちがいない。――
「あなたは、隣に住んでおられるのだね。」
「はい、ミンチン女塾におりますの。」
「でも、生徒ではないのだね?」
セエラは、口許に妙な微笑《ほほえみ》を漂わせました。彼女は、ちょっとためらってからいいました。
「私、自分が何なのだか、よく判りませんの。」
「それは、またどうして?」
「はじめは生徒で、特別の寄宿生でしたけれど、今はもう――」
「生徒だった? そして、
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