今は何なのかね?」
セエラは、また妙に悲しげな微笑を口許に湛《ただよ》わせました。
「今は私、屋根裏部屋で、小使娘の隣に寝ております。そして、料理番の使に出されたり――料理番のいうことは何でも聞かなくちゃアならないのです。それから、小さい人達の勉強も受けもっています。」
カリスフォド氏は、力を失ったように椅子の中に身を落しました。
「カアマイクル君、君この子に訊いてくれたまえ。私は、もう駄目だ。」
大屋敷の父親は、小さな娘と話すのが上手でした。彼は美しい声で、はげますようにセエラに話しかけました。
「ね、嬢や、その『はじめ』っていうのは、いったいどういう意味なの?」
「お父様が、あそこへ私を伴れていらしった時のことですわ。」
「そして、そのお父様はどこにおられるの?」
「亡くなりましたの。」セエラは静かに静かにいいました。「お父様は、何もかも失くしてしまったので、私のいただくものは、もう何にもなかったのです。それに、私の世話をしてくれるものは一人もないし、ミンチン先生にお金を払って下さる方もないので――」
「カアマイクル君!」印度紳士は声高に呼びかけました。「カアマイクル君!」
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