もあるわ。この頃幾度もそんな経験をしたので、前よりはずっと出来やすくなったわ。何かたまらないことがあると、私いつでも一生懸命、自分は宮様《プリンセス》だと考えてみるの。『私は、妖精《フェアリイ》の宮様《プリンセス》だ、妖精《フェアリイ》の私を傷けたり、不快にしたり出来るものがあるはずはない。』私自分にそういってみるの。そうするとなぜだか、いやな事は皆忘れてしまってよ。」
 そのうち、こんなことが起りました。四五日雨の続いた後で、町は肌を刺すように寒く、ぬかるみの上に物憂い霧がたてこめていました。そんな日に限って、セエラは何度となく使に出されるのでした。濡れそぼれて帰ってくると、ミンチン先生は何かの罰だといって、御飯も食べさせてくれませんでした。餓え、凍え、顔まで抓《つめ》られたような色になったセエラは、道行く人の同情を惹くくらいでした。が、彼女は同情の眼で見られているのも知らず、力の限り『つもり』になろうと努力していました。
「私は乾いた服を着ているつもり[#「つもり」に傍点]になろう。満足な靴を穿き、長い厚い外套を着、毛の靴下を穿き、漏らぬ雨傘を持っているつもり[#「つもり」に傍点]
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