には――あんただの、バスティユだの、隣の部屋の囚人だってつもり[#「つもり」に傍点]だのがなかった日には、私死んじまいそうだわ。この頃はここ、まったくバスティユみたいじゃない? 先生はだんだん看守頭みたいになってくるし、私、いつかお嬢様の仰しゃった大きな鍵ね、あれを先生が持っているのが、見えるような気がするわ。あの料理番ね、あれは下まわりの看守よ。お嬢様、その先を話してちょうだいな。あの壁の下へ掘った地下道の話をして。」
「何かもっと温かいお話がいいわ。」セエラはがたがた震えていました。「あなたも、夜具を持って来てくるまるといいわ。私も夜具を着るから、寝台の上で、夜具をよくまきつけて、それから、あの印度紳士の猿のいた熱帯の森の話をしてあげるわ。」
「そのお話の方が温かいことは温かいわ。でも、お嬢様が話すと、バスティユのお話を聞いてても、何だか温かになるのよ。」
「話に気をとられて、寒いことを忘れるからよ。私こう思うのよ。心の職務《つとめ》は、身体が可哀そうな状態にある時、何かほかへ気を向けさせるようにすることだと。」
「そんなこと、あんたに出来て?」
「出来ることもあるし、出来ないこと
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