の中に埋《うず》めました。彼女は一人だと、よく頭を抱えるのでした。
「ああお父様、もうずいぶん昔だわね、私がお父様の『小さな奥様』だったのは。」
 同じ日のうちに、壁の向うとこちらとに、こんなことが起ったのでした。

      十三 人の子

 惨めな冬でした。セエラは幾日となく雪を踏んで使に出ました。雪解《ゆきどけ》の日は、更に使い歩きが辛いのでした。かと思うと、ひどい霧の日が続きました。そんな時、街路は幾年か前セエラが初めて父と辻馬車を走らせた時のようでした。そんな日には、あの大屋敷の窓は、殊にも居心地よさそうに見えました。印度紳士のいる書斎は、いかにも温かそうでした。それにひきかえ、屋根裏部屋の暗さといったらありませんでした。もう眺めようとしても、夕焼や日の出は見られませんでした。星もあるとは思えませんでした。雲は低く、泥のような灰色でした。霧はなくても四時にはもう日が暮れた感じで、蝋燭なしには、梯子を登ることも出来ませんでした。台所の女中達も、気がくさくさするとみえ、ますます辛くあたりました。ベッキイはまるで奴隷の子のように逐い使われました。
「お嬢様、あんたでもいなかった日
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