ような顔しているから、私気になってしょうがないの。」
 二人は方々の人形屋に馬車を走らせ、黒眼の人形、青眼の人形、茶色の髪の人形、金色の髪を編んだ人形、衣裳をつけた人形、裸人形などいちいち覗いて歩きましたが、どれもセエラの『エミリイ』ではありませんでした。失望を重ねたあげく、二人は馬車を降りて、軒並に陳列窓を覗いて歩くことにしました。二三の店を通りすぎて、とある小さな店の前に来かかった時でした。セエラは突然飛び上って、父の腕にひしと縋《すが》りつきました。
「あそこに、エミリイちゃんが!」
 セエラの顔にはさっと紅《べに》が刷《は》かれました。青鼠色《あおねずみいろ》の眼には、たった今、大好きなお友達を認めたというような表情が浮びました。
「あの子は、ほんとうに私を待ってるのよ。さ、あの子の所へ行きましょう。」
「おやおや、誰かに紹介してもらわないでもいいのかね。」
「お父様が私を紹介して下さるの。そしたら、私もお父様を紹介してあげるわ。でも、私はあの子を見た時すぐわかったんですもの、あの子だってきっと私を知っててよ。」
 エミリイもきっとセエラだとわかっていたのでしょう。セエラが抱き
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