は前よりもほめ感じて、いろいろ介抱《かいほう》してくれた。四、五日してから、また同じように打ってから、その次ぎには、背中でなく、腹の方を打った。
 それにも辛抱《しんぼう》すると、女はいろいろいたわってくれたが、十日ばかりして、笞のあとがすっかり回復したころ、ある夜、女は男に水干袴と立派な弓、やなぐい、すねあて、わらぐつなどを与えて、装束させてからいった。(これから蓼中《たでなか》の御門《みかど》に行って、そっと弦打《つるうち》(弓のつるをならすことである)をして下さい。すると、誰《だれ》かがそれに答えて弦打をするでしょう。そうしたら、口笛《くちぶえ》を吹《ふ》いて下さい。すると、またそれに答えて誰かが口笛を吹くでしょう。そして、人が寄って来て「誰か」といって訊くでしょうから、ただ「来ている」と、だけ返事をして下さい。そして相手の連中の行くところへいっしょに行って下さい。そして、立っていろというところに立っていて人などが出て来て妨《さまた》げなどする場合はよく防いで下さい。仕事が了《おわ》ると、舟岡山《ふなおかやま》の方へ引き上げて、そこで何か命令が出るでしょう。しかし、物を配分するこ
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