のくらいな物言いがまず理屈のある方であった。三、四人の若者は右衛門に飛びかかった。子供にさえ手込めになるのだから、今度はさらに造作がなかった。兎のように皮を剥がれた。彼の美しい肉体は六月の太陽の下にたちまち色が変って行くほど白かった。
「右衛門なら殺してもええ」と弥惣次が怒鳴った。この頃は強い者が弱い者を殺すのは当り前のことであった。
「百姓を苦しめたのはそいつじゃ、一締めに締めてしまえ」といった。若者の一人は、土にへたばっている右衛門の首をちょっと締めてみた。右衛門は苦しがって激しくせきをした。その時、老人はまたあわれを催した。
「命をとるまでもない。赦してやれ」といった。若者にもあまり異存はなかった。弥惣次は一歩前へ出て右の足をあげて右衛門の肩にかけながら、
「命が惜しい。命ばかりは助けて下されといえ、いわずば赦すまいぞ」といった。右衛門は口惜し涙をぽろぽろとこぼした。若者はいかに若気ていても、武士じゃほどに勇《ゆう》に勇ましい捨身の言葉を吐くかと思っていたが、右衛門は低い声で、
「命が惜しい、命ばかりは助けて下され」といった。
「頭の下げようが足りない」と弥惣次は怒鳴った。
右
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