(吉治、青松葉を一抱え持って来る。およし、おろおろしている)
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巫女 神さんの仰せは大切に思わぬと罰が当りますぞ。
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(義助、吉治を相手に不承不承に松葉に火をつけ、厭がる義太郎をその煙の近くへ拉《らっ》して行く)
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義太郎 お父《と》う何するんや、厭やあ、厭やあ。
巫女 それをその方の声じゃと思うと燻《くす》べにくい、皆狐の声じゃと思わないかん。そのお方を苦しめている狐を、苦しめると思うてやらないきません。
およし なんぼなんでもむごいことやな。
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(義助、吉治と協力して顔を煙の中へ突き入れる。その時、母屋の方で末次郎の声がきこえる)
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末次郎 (母屋の内部から)お父さん、おたあさん、帰って来ましたぜ。
義助 (ちょっと狼狽して、義太郎を放してやる)末が帰って来た。日曜でないのにどうしたんやろ。
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(末次郎、折戸か
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