家へ帰ってから、それらの品々を売りました。すると、どうして使っていいかわからないほど、たくさんのお金が、手に入りました。
ここで、シンドバッドは、ごちそうを持って来るようにと、言いつけました。そして、ヒンドバッドが家へ帰る前に、また百円やるようにとも言いました。召使はその通りにしました。
次の夜、たくさんのお客さまと、荷かつぎのヒンドバッドとが、いつものところへ腰をかけた時、シンドバッドは、六度めの航海の話をはじめました。
六|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
こんどは、まる一年家にいました。その間、また航海に出るしたくをしていました。友達《ともだち》や、しんるいの者たちは、行かせまいとして、いろんなことを言って、引きとめにかかりましたが、私はどうしても、しょうちしませんでした。
まもなく、こんどは、うんと長い航海をするつもりで、出かけました。
けれども、この航海は、はじめから、つごうよくゆきませんでした。すぐに、ひどい大あらしにあって、風のまにまに、あちらこちらと流されたあげく、とうとう、船長も、水先《みずさき》案内も、どこをどう走っているのか
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