くて、またまた、海へ行きたくてたまらなくなりました。
そして、こんどは、ひとの船に乗らないで、自分の船を作りました。そうすれば、どこへだって、行きたいと思うところへ行けますし、したがって、したいと思うことをやって、商売ができるわけです。
さてこの船は、かなり大きゅうございましたので、ほかに五六人の商人も乗りこんでもらいました。そしてまた、海へ乗り出しました。
それから、五つ六つの港へつきました。商売は、とんとんびょうしにはこびました。
するうち、ある日のこと、ふしぎな白い円屋根のある、沙漠《さばく》のような島へ来ました。私はすぐに、ははあ、ロックの卵だなと思いました。しかし、ほかの人は、まだ、だれも見たことがないというのです。そして、ぜひ見てゆきたいから、上らせてくれというのです。仕方がないので、ゆるしました。
その人たちは、近づいて行って、ふしぎそうに見ていました。ちょうどその時は、ロックのひな[#「ひな」に傍点]が今にもかえりそうになっていた時で、少し口ばしで、からを破ろうとしておりました。
すると商人たちは、私がとめるのも聞かないで、この卵をこわしてしまいました。そし
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