れたら、大へんだと思ったものですから。……それで、
「二三日前、難船《なんせん》して、やっと、このこうりだけ持って上ったのです。」と、言っておきました。
つごうのいいことには、水夫たちは、もう何にも問いませんでした。そして、すぐにボートをこぎ出して、私を本船へつれて行ってくれました。
こんなふうにして、また無事に帰って来ました。もちろん、前よりも一そう金持になりました。そして、あんなおそろしい目にあっても、助かったとは、まあなんてありがたいことだろう、と思ったのであります。
ここで、シンドバッドはやめました。そして、ヒンドバッドは、また百円もらい、またあすの晩も来るように、その時は五度めの航海の話をするから、と言われました。
五|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
さあ、これから、五度めの航海の話をはじめようと思います。(あくる晩、みんながテーブルのまわりに腰をかけた時、シンドバッドは、こう口をきりました。)
ご存じのように、今まで、ずいぶんひどい目にあっていながら、私のぼうけんずきは、やっぱりやみませんでした。家の中にじっとしていることがじれった
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