くれました。
 それからまもなく、私たちはバクダッドにつきました。私は、こんどの商売では、とてもかぞえきれないほど、お金をもうけていました。それで、もっと土地を買って、またたくさんのお金を貧民どもにほどこしました。そしてまもなく、あぶなかったことや、苦しかったことを、みんな忘れてしまいました。

 そこで、三度めの航海の話は終りました。
 シンドバッドは、また、ヒンドバッドに百円やるようにと、召使に言いつけました。
 それからまた、ヒンドバッドは、第四航海の話を聞きに来ました。

       四|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》

 三度めの航海の後は、私は大へんゆたかに、仕合せにくらしていました。しかし、皆さん、あきれてはいけません。また私は、ただお金持で、ぼんやり家にいるのでは、どうも満足《まんぞく》ができなくなりました。旅をして、いろいろのぼうけんをしたいと思う心が、おさえても、おさえても、どうしてもやみませんでした。
 私は、また、商品を買いあつめました。そして、仲間の商人と一しょに船に乗って、外国の港をさして、出かけました。
 船は、いろいろの港につきました。私ど
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