ンドバッドにくれました。それからヒンドバッドは家へ帰って行きました。
次の日の晩も、また、お客さまたちはあつまりました。ヒンドバッドも、やっぱりやって来ました。
シンドバッドは、また、あぶない目にあった話をしはじめました。すなわち、三度めの航海の話でありました。
三|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
私は、しばらく家にいて、楽しくくらしているうちに、だんだん、苦しかったことや、こわかったことを、忘れてゆきました。そしてまた、新しいぼうけんがしてみたくなりました。それに、まだ私は、家でしずかにして、ぶらぶらくらしている年ではない、と思いました。それでこの前の時のように、品物を買いあつめて、商売の旅《たび》に出ました。
商売は、どの港でも、大へんつごうよくゆきました。品物がどんどん売れてゆきました。そして、こんどこそは、ひどい目にもあわないですみそうだと思っているやさき、ある日、大あらしがやって来ました。
船は、すっかり方向がわからなくなってしまって、船長でさえも、風下《かざしも》のある島のかげへ来るまでは、どこをどう進んでいるのか、かいもくわからない
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