、そんなりっぱなダイヤモンドを見たのは、はじめてのようでした。
「さあ、がっかりなさったかわりに、どれか一つお取りください。」
と、どなりつけた商人に言いました。
すると、その人は
「では、この小さいのを一ついただきましょう。」と、言って、きらきら光っている中から、一ばん小さいのを一つ取り出しました。
私は、もっと大きいのをお取りなさい、とすすめましたが、その人は首《くび》をふって、
「これ一つあったら、私がほしいと思った財産をつくることができます。私はもう、こんなあぶない思いをして、ダイヤモンドをさがしには来ますまい。」と、言いました。
それから、みんなで、港をさして出かけました。そして、そこから船に乗って、家へ帰ることにしました。帰りみちでも、いろいろあぶない目にあいました。けれども、ともかく、バクダッドへ帰って来ることができました。
私はダイヤモンドを売って、大へんなお金をもうけました。そして、たくさんのお金を貧乏人にほどこしました。そして前よりも、もっとお金持になって、人からちやほやされるようになりました。
ここで、シンドバッドは話をやめました。そして、また百円、ヒ
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