って、こんなことをしてしまったお話をなさいました。そして、
「今も持っていますよ。いつだって、上着《うわぎ》の中へかくして、持ち歩いていますよ。」と、おっしゃいました。
「お姫さま、私はそのランプをとり返さなきゃなりません。ですから、あなたもどうか私にかせいしてくださいませ。今晩、まほう使があなたとご一しょに、ごはんをたべる時、あなたは一番いい着物を着て、そしてしんせつそうなふうをして、おせじを言ってやってくださいまし。それから、アフリカのお酒《さけ》が少し飲みたいとおっしゃいませ。するとあの男が、それをとりに行きますからね。その時が来たら、私がまたあなたのおそばへ行って、こうこうしてくださいませ、と申し上げますから。」
と、アラジンが申しました。
さてその晩、お姫さまは一番いい着物をお召しになりました。そして、まほう使が入って来た時、にこにこして、いかにもしんせうそうなふうをなさいました。まほう使が、これはゆめではないかと思ったほどでした。なぜかというと、お姫さまは、ここへつれて来られてからというものは、いつもいつも悲しそうな顔をしているか、そうでない時は、おこった顔をしていらっし
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