アラビヤンナイト
一、アラジンとふしぎなランプ
菊池寛
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)貧乏《びんぼう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|箇《こ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)しな[#「しな」に傍点]
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昔、しな[#「しな」に傍点]の都に、ムスタフという貧乏《びんぼう》な仕立屋が住んでいました。このムスタフには、おかみさんと、アラジンと呼ぶたった一人の息子《むすこ》とがありました。
この仕立屋は大へん心がけのよい人で、一生けんめいに働きました。けれども、悲しいことには、息子が大《だい》のなまけ者で、年が年じゅう、町へ行って、なまけ者の子供たちと遊びくらしていました。何か仕事をおぼえなければならない年頃になっても、そんなことはまっぴらだと言ってはねつけますので、ほんとうにこの子のことをどうしたらいいのか、両親もとほうにくれているありさまでした。
それでも、お父さんのムスタフは、せめて仕立屋にでもしようと思いました。それである日、アラジンを仕事場へつれて入って、仕立物を教《おし》えようとし
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