傍点]から帰って来るアラジンに行きあいましたので、すぐにつかまえて、王さまの前へつれて来ました。町の人々は、アラジンになついていたものですから、アラジンが引かれて行くそばへよって来て、どうか、ひどい目にあわないようにと、おいのりをしてくれました。
王さまはアラジンをごらんになって、大へんおしかりになりました。そして家来に、すぐアラジンの首を切れとおっしゃいました。けれども、町の人たちがお城へおしかけて来て、そんなことをなすったら、しょうちしません、と行って王さまをおどかしました。それで仕方なく王さまは、アラジンのくさりをといておやりになりました。
アラジンは、どうしてこんな目におあわせになったのかと、王さまにおたずねしました。王さまは、
「かわいそうに、何にも知らないのか。まあここへ来てごらん。」と、おおせになりました。
そしてアラジンをまどのところへつれて来て、アラジンの御殿が立っていたところが原っぱになっているのを、指さして教えておやりになりました。
「お前の御殿はともかく、姫はどこへ行ったのだろう。わしのだいじなだいじな娘はどこへ行ったのだろう。」と言って、王さまはお泣きに
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