かかって、外の景色《けしき》をながめていらっしゃいました。町から聞えてくる呼び声が、耳に入ったものですから、さっそくどれいをお呼びになりました。そして、
「あれは何と言っているのか聞いておいで。」と、おっしゃいました。
 すぐにどれいは聞いて帰って来ました。そして、さもさもおかしくてたまらないというふうに笑いながら、
「ずいぶん、へんなおじいさんなのでございますよ。新しいランプを古いランプととりかえてあげます、と申すのでございます。そんなばかげたあきないがございますでしょうかねえ。ほほほ……」と、申し上げたのでございました。
 お姫さまも、これをお聞きになって、大そうお笑いになりました。そして、すみの方のかべにかかっていたランプを、指さしになって、
「そこにずいぶん古ぼけたランプがあるじゃないか、あれを持って行って、そのおじいさんが、ほんとうにとりかえてくれるかどうか、ためしてごらん。」と、おっしゃいました。
 どれいはランプをとりおろして、町へ走って行きました。まほう使は、まほうのランプを両手でしっかり受けとってから、
「どれでも、おすきなのをお持ちください。」
と言って、新しい銅の
前へ 次へ
全38ページ中26ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
菊池 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング