とを申し上げますと、それでは自分の宝石をみんなやるから使うように、とおっしゃいました。それを、使いはたしても、なおまどは出来上りませんでした。
 それで、アラジンは、かかりの人たちに仕事をやめさせて、王さまの宝石を全部返してしまいました。そして、その晩もう一度ランプのおばけを呼びました。それで、まどは夜のあける前に出来上りました。王さまと、装飾がかりの人たちは、おどろいてしまいました。
 けれども、アラジンはけっして自分のお金持であることをじまんしませんでした。だれにでもやさしく、礼儀《れいぎ》ただしくつきあっていました。そして貧乏人にはしんせつにしてやりました。それでだれもかれもアラジンになつきました。アラジンは、また王さまのために、何度も何度も、戦争に行っててがらを立てました。それで、王さまの一番お気に入りの家来になりました。

 けれども、遠いアフリカでは、アラジンをいじめる悪だくみが、ずっと考えつづけられていました。あの伯父さんだといってだました悪者のおじいさんのまほう使は、まほうの力によって、自分が地の下へとじこめてしまった男の子が、あれから助かって、大へんな金持になったとい
前へ 次へ
全38ページ中24ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
菊池 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング