いになりました。町じゅうはお祝いで大にぎわいでした。
 そのあくる日は、王さまの方からアラジンの新御殿をおたずねになりました。そしてまず大広間へお通りになって、金の銀とのかべと、宝石をかざりつけたまどとをごらんになって、大へんご感服《かんぷく》なさいました。そして、
「これは世界で一ばん美しい御殿にちがいない。わしには、この御殿の中にあるたった一つのものでさえ、世界第一の宝物のように思われる。だが、ここにたった一つ、かざりつけをしてないまどがあるのは、どういうわけだね。」
と、おたずねになりました。するとアラジンは、
「陛下、それは、陛下のとうといお手で、かざりつけをしていただきたいと存じまして、わざわざ残しておいたのでございます。」
と、お答えしました。
 王さまは、大へんおよろこびになりました。そしてすぐにお城の装飾《そうしょく》がかりの人たちに、このまどをほかのまどと同じようにかざりつけるように、お言いつけになりました。
 装飾がかりの人たちは、何日も何日も働きました。そして、まだ、まどのかざりつけが半分もできないうちに、持っていた宝石をすっかり使ってしまいました。王さまにこのこ
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