ません。」と、申し上げたのでありました。
 そうして、家へ帰って、もう一度ランプのおばけを呼びよせました。そして、
「世界一のりっぱな御殿を作れ。その御殿は、大理石《だいりせき》と、緑色の石と、宝石とで作らなければいけない。そしてまん中に、金と銀とのかべとまどが二十四ついている大広間を作るのだ。それからそのまどは、ダイヤモンドだの、ルビーだの、そのほかの宝石でかざらなければいけない。けれども、たった一つだけは何にもかざりをしないで、そのままにしておけ。それから、また馬やも作らなければいけない。そして、御殿の中には、たくさんのどれいもいなければいけない。さあ、これだけのことを早くやってくれ。」
と、言いつけました。
 あくる朝、アラジンは、世界一かと思われるほどの御殿が立っているのに気がつきました。御殿の大理石のかべは、朝日の光を受けて、うすもも色にそまっていました。まどには宝石がきらめいていました。
 アラジンはさっそく、お母さんと一しょにお城へまいりました。そして、きょう婚礼をさせていただきたいと申し入れました。お姫さまはアラジンをごらんになって、アラジンと仲《なか》よくしようとお思
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