とアラジンは、
「いいえ、お母さん、だめじゃありませんよ。王さまにはすぐおおせの通りにしてごらんに入れますよ。」と、いさぎよく言いました。
 それから、まほうのランプをこすりました。そしておばけが出て来た時、宝石を山もりにした四十枚のお皿と、王さまが言われただけのどれいをつれて来いと言いつけました。
 さて、それから、このりっぱな行列《ぎょうれつ》が町を通ってお城へ向いました。町じゅうの人々はぞろぞろと見物に出て来ました。そしてみんな、黒んぼのどれいが頭の上にのせている、宝石を山もりにした金のお皿を見て、びっくりしました。お城へついて、どれいたちは王さまに宝石をさし上げました。王さまはずいぶんおおどろきになりましたけれど、また大そうおよろこびになって、アラジンとお姫さまとがすぐに婚礼するようにとおっしゃいました。
 お母さんが帰って、このことをアラジンにつげますと、アラジンは、すぐにはお城へ行かれないと言いました。そして、まずランプのおばけを呼んで、香水《こうすい》ぶろと、王さまがお召しになるような金のぬいとり[#「ぬいとり」に傍点]のある着物と、自分のお供をする四十人のどれいと、お母
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