衛や太郎兵衛……いいえむこうのですよ。むこうの権兵衛や太郎兵衛ともっとぴったり結びついてなくちゃだめだと思うんです。そうすりゃ対支政策が変ったからどうの、支那の政府が変ったからって、一々騒ぎたてなくてもいいじゃありませんか。
章介 どうも、何時の間にかお前はすっかり支那問題の大家になっちまった。
けい いやですよ、そんなに人をからかっちゃ。
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精三、ふみ、後から総子。
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精三 (すっかり自信たっぷりの社会人になっている)いや、あれは仲々大した人物だ。流石におけいさんは目が高いよ、やあ、お帰んなさい。
けい あ、只今。
精三 今も、此奴にいっとるんですがね、猪瀬氏ですよ。立派なもんです。よくあれだけの人物を選んで来られたと。あんたの慧眼《けいがん》に感服してるんです。あの人物についてなら私が太鼓判を押しますよ。
けい そうですか。そりゃよろしゅうございました。あなたにも、いろいろ御苦労さまでしたね。
ふみ 太鼓判だかどうだかしらないけど、お見合いに来て介添人《かいぞえにん
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