女の一生
五幕七場
森本薫

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)何時《いつ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)家庭|団欒《だんらん》

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(例)[#ここから2字下げ]
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  人

布引けい    知栄の少女時代
堤 しず    野村精三
  伸太郎   職人 井上
  栄二    女中 清
  総子    刑事一
  ふみ    刑事二
  章介
  知栄
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     第一幕の一

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堤家の焼跡。
昭和二十年十月のある夜。

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正面右手寄りに、之だけが完全に残った石燈籠。左手に壕舎の屋根、舞台右手寄りに切石が二つ三つ積んである。高台と見えて地平線の空が月明に明るい。
石燈籠の脇に堤けい、向うむきに坐りこんでいる。じっとして動かない。髪に白いものも多く、戦禍をくぐって来た事とて年よりもぐっとふけて見える。
間。
下手から栄二、けいより一二歳上だが之も最近「或る場所」から出て来たのですこしふ
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