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けい あの……。
伸太郎 (振返る)
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間。
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けい あの……。知栄が戻ります時……あなたも御一緒に、お帰りになって下さいませんか。
伸太郎 (嫌味でなく)この家には、まだ俺の戻ってくる部屋があるかね。
けい あなたのお部屋は、あなたが出てらした時のままになっております。
伸太郎 ……。憶えて、おこう……。
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そういって歩き出す。襖《ふすま》の所迄行った所で、急にふらふらと倒れそうになる。
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けい (馳けよって)あなた、あなた、どうなさいました。
伸太郎 大丈夫だ。何でもない。
けい 大丈夫ですか。なんだか、お顔の色が真っ蒼ですよ。
伸太郎 大丈夫だ。もういい。もう……。
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と歩き出し、又ふらふらする。
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