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収 お客様らしい。やっぱり帰らなくちゃ。
あさ子 駄目々々。今帰っちゃ駄目よ。も少し。
収 だって、僕の知らない人だ。
あさ子 大丈夫よ。紹介したげるから。
収 して欲しくないよ。よく知ってる人?
あさ子 一度逢ったの。
収 紹介も凄《すさま》じい。一度逢った人か。(立上る、あさ子も)
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真紀、弘。弘、三十三。
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真紀 どうしたの? 立ちはだかって。
あさ子 帰るんだって、急に。何だか、怒ってるみたいよ。
真紀 莫迦ね、晩まで遊んでってもいいんでしょ。まだ日があるから暑いよ。晩御飯を済ましてからになさい。
収 しかし、遅くなると。
真紀 心配なんてするものか、あなたの母さんが。(笑う。弘に)親戚と言ってもいいんです。須藤収、さんは付けたり付けなかったり。(収に)上野弘さん。あさ子のお友達のお兄様よ。さ、どうぞ……。
弘 いいじゃありませんか、ごゆっくりなさい。私が入ってもいいでしょう。
あさ子 そおら、言わないことじゃない。
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収、あきらめて坐る。
女[#「女」はママ]が椅子を持込んで去る。
[#ここ
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