うな素人でも苦労はないわけである。
そこで、毎年欲張って二十種ないし三十種の種をまいて、庭一面を藪《やぶ》のようにしているのであるが、それでは藪蚊の棲み家を作るおそれがあるので、今年はあまり多くを蒔かないことにした。それでも糸瓜《へちま》と百日草だけは必ず栽えようと思っている。
わたしは昔の人間であるせいか、西洋種の草花はあまり好まない。チューリップ、カンナ、ダリアのたぐいも多少は栽えるが、それに広い地面を分譲しようとは思わない。日本の草花でも優しげな、なよなよ[#「なよなよ」に傍点]したものは面白くない。桔梗《ききょう》や女郎花《おみなえし》のたぐいは余り愛らしくない。わたしの最も愛するのは、糸瓜と百日草と薄《すすき》、それに次いでは日まわりと鶏頭《けいとう》である。
こう列べたら、大抵の園芸家は大きな声で笑い出すであろう。岡本綺堂という奴はよくよくの素人で、とてもお話にはならないと相場を決められてしまうに相違ない。わたしもそれは万々《ばんばん》承知しているが、心にもない嘘をつくわけには行かないから、正直に告白するのである。まあ、笑わないで聴いて貰いたい。
まず第一には糸瓜で
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