「都新聞」)
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仙台五色筆


 仙台《せんだい》の名産のうちに五色筆《ごしきふで》というのがある。宮城野《みやぎの》の萩、末の松山《まつやま》の松、実方《さねかた》中将の墓に生《お》うる片葉の薄《すすき》、野田《のだ》の玉川《たまがわ》の葭《よし》、名取《なと》りの蓼《たで》、この五種を軸としたもので、今では一年の産額十万円に達していると云う。わたしも松島《まつしま》記念大会に招かれて、仙台、塩竈《しおがま》、松島、金華山《きんかざん》などを四日間巡回した旅行中の見聞を、手当り次第に書きなぐるにあたって、この五色筆の名をちょっと借用することにした。
 わたしは初めて仙台の地を踏んだのではない。したがって、この地普通の名所や故蹟《こせき》に対しては少しく神経がにぶっているから、初めて見物した人が書くように、地理や風景を面白く叙述するわけには行かない。ただ自分が感じたままを何でもまっすぐに書く。印象記だか感想録だか見聞録だか、何だか判《わか》らない。

     三人の墓

 仙台の土にも昔から大勢《おおぜい》の人が埋められている。その無数の白骨の中には勿論、隠れたる詩
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