ピストルのほかに雨具、雑嚢《ざつのう》または背嚢《はいのう》、飯盒《はんごう》、水筒、望遠鏡で、通信用具は雑嚢か背嚢に入れるだけですから、たくさんに用意して行くことが出来ないので困りました。万年筆はまだ汎《ひろ》く行なわれない時代で、万年筆を持っている者は一人もありませんでした。鉛筆は折れ易くて不便であるので、どの人も小さい毛筆を用いていました。従って、矢立《やたて》を持つ者もあり、小さい硯《すずり》と墨を使っている者もあり、今から思えばずいぶん不便でした。
しかしまた、一利一害の道理で、われわれは机にむかって通信を書く場合はほとんど無い。シナ家屋のアンペラの上に俯伏《うつぶ》して書くか、或いは地面に腹|這《ば》いながら書くのですから、ペンや鉛筆では却《かえ》って不便で、むしろ柔かい毛筆を用いた方が便利だと云う場合もありました。紙は原稿紙などを用いず、巻紙に細かく書きつづけるのが普通でした。
宿舎は隊の方から指定してくれた所に宿泊することになっていて、妄《みだ》りに宿所を更《か》えることは出来ません。大抵は村落の農家でした。しかし戦闘継続中は隊の方でもそんな世話を焼いていられないの
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