もし間違いでもありますといけません」
 林之助ははっ[#「はっ」に傍点]と赤面した。まさか大勢の前で大小を質に入れて来たとは言えなかった。返事に困っておどおど[#「おどおど」に傍点]していると、豊吉は薄あばたの顔に三角の眼をひからせた。
「なるほど旦那は丸腰で……。へえ、もうきょうかぎりお屋敷の方はおやめになったんでごぜえますかえ。ははあ、それじゃあここの姐さんがいなくなったんで、おおびらでお里の方へ引き取られるようなことで……。なんでもお里のおふくろの死んだ時にゃあ大層に肩を入れてお世話をなすってやったそうで……。へえ、みんな知っていますぜ」
 彼は憎々しくせせら笑った。丸腰を見とがめられて赤面しているところへ、又もやこんな忌味を言われて、林之助はむっ[#「むっ」に傍点]とした。
「お里のおふくろが死んだ時に顔を出したのがなんで悪い。顔を出そうと出すまいと俺の勝手だ。貴様たちにおれの料簡《りょうけん》がわかるか」
 豊吉も負けずに何か言おうとするのを小屋主がおさえた。ほかの者もなだめた。ともかくも武士の林之助を相手にして喧嘩をしては面倒だと思ったらしい。
 それはそれで済んだが、四方
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